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第90回アカデミー賞®二部門獲得『スリー・ビルボード』あらすじ 感想

第90回アカデミー賞®受賞!
主演女優賞 フランシス・マクドーマンド
助演男優賞 サム・ロックウェル

作品紹介

ミズーリ州のさびれた道路の3枚の広告看板にメッセージを出したのは、7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド。犯人は一向に捕まらず、何の進展もない捜査状況に腹を立て、警察署長にケンカを売ったのだ。署長を敬愛する部下や町の人々に脅されても、一歩も引かないミルドレッド。その日を境に、次々と不穏な事件が起こり始め、やがて思いもかけない、誰もが想像できないドラマが始まる──。

試写の感想

なんとも痛快極まりない作品だろう。現実では、やりたくても決して実現出来ないことを実行し、さらには、その事への反発を断固としてはねのける、この物語のヒロイン(ミルドレッド)に拍手を贈りたい。

まさに強くたくましいアメリカンヒ―ロ―の誕生だ。

娘をレイプされ殺された事件の捜査が、なかなか進展しない事に怒った母親ミルドレッドは、警察署長ウィロビ―に腹を立て、その警察署長を擁護する街の人たちにも牙を向け、ひとり闘い続ける姿は凄まじく、当所は受け入れ難く感じていても、徐々に共感が持ててくる。それは別れた夫のいい加減さであったり、この街を取り巻く風潮が全て、彼女を非難することでまとまっている「いじめ」環境を見せられると、意地でも彼女を応援したくなる。

ブルーの戦闘服に身を包んだ彼女の、なんと凛々しいことか。かつて西部劇のジョン・ウェインに重なってくる。

何故に彼女をここまで頑なにさせたのか?それはまさしく、自分の生活を守ることしか頭にない、現代社会への反発そのものではなかったのか。

三枚の広告看板は、そこに住む人のみならず、今を生きる人々全てに向けられたメッセージのようだ。今あなたは何をすべきなのか?

物語りは展開し、次に彼女がどのような行動をとるのか予想が着かない。一度動き出した歯車は、何を持って動きを止めるのか。ハラハラドキドキのうちに、全く予期しない結末になっていた。無論拍手喝采を惜しまない。

そして、この作品をより印象付けたのはイギリス民謡「楽しき我が家」だ。甘く切ないこのメロディーが、痛烈に耳に刺さってくる。ホームドラマに背を向けて、巨大な敵に立ち向かう、独りの母親の心の叫びに聞こえてきた。

予告動画

【スタッフ】
監督:マーティン・マクドナー

【キャスト】

フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ

原題・英題:THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI

上映時間:116分

公式サイト

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 

投稿者プロフィール

植田 研一
昭和26年生まれ。若い時に演劇を志したが、夢破れテレビ界でサラリーマン生活を送る。昨年退職し、現在隔月でひとり語りを開催している。
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