2018年5月20日
  • 道内最大級の映画レビューサイト

25年前の殺人事件が、4人の狂気を呼び覚ます。『光』井浦新✕瑛太✕橋本マナミ

 

作品紹介

三浦しをん原作・大森立嗣監督、井浦新主演による映画『光』

『舟を編む』で本屋大賞を受賞した三浦しをんの作品群で、徹底的に人間の闇を描き、ファンの中で特別な評価を得ている一作『光」が、『さよなら渓谷』、『まほろ駅前』シリーズの大森立嗣監督の手によりついに映画化。

かねてからの競演を望んでいた井浦新と瑛太の狂気と怪物性、そして長谷川京子、橋本マナミの色気と母性がスクリーンに吸い込まれるような熱情を放ち、苛烈なる人間ドラマがここに誕生しました。

 

ストーリー

25年前の殺人事件が、4人の狂気を呼び覚ます。

僕たちは、人間のふりをして生きているー。

東京の離島、美浜島。中学生の信之は記録的な暑さが続く中、閉塞感のある日々を過ごしている。

信之を慕う年下の輔は、父親から激しい虐待を受けている。

美しい恋人の美花がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。ある夜、美花と待ち合わせをした場所で信之は美花が男に犯されている姿を見る。そして信之は美花を救うために男を殺す。その夜、理不尽で容赦ない圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てを消滅させた。

生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった。

それから25年後、島をでてバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる―。妻子とともによき父として暮らしている信之と、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花。

誰からも愛されずに育った輔が過去の秘密を携え、ふたりの前にやってくるのだった。

 

 

試写会の感想

暗くて重くて卑しい。
人間の怒りや狂気と共に存在する光。
それは、到達してはいけない理性を超えた先で見つけた圧倒的な無の中に差し込む光だった。

三浦しをんの作品の中でも異彩を放つ小説「光」
大森監督の周到な脚本・豪華俳優陣の新境地ともなる熱演・ある種不協和音にも感じる程インパクトの強いテクノミュージックによりこの「光」という作品のもつ暴力性がより浮き彫りになったように思う。

大切な人を守る為。
始まりはそうだった。
正義なのか悪なのか、それすらもうわからない。
黒川信之を演じる 井浦新の表情には感情が無い。

父親の暴力に怯え、信之に執着し愛憎の想いを持ち続ける輔を演じた瑛太の演技も鬼気迫るものがあった。
信之を守護神だと語り無邪気に目を輝かせる子供のような姿。
冷酷でありながらも純粋な彼に、本当の意味で寄り添ってあげられる人はいなかった。
最期に彼を救ったのは、信之なのかもしれない。

主婦同士の見栄、建前の煩わしさ。
育児や家事に疲れ果てた先の不倫。
寂しさや苦しさを紛らわす為の逃避すら、自分の物語ではなかったと知った南海子はこれからどうやって生きていくのか。

環境が悪い、周りが悪い、そういう事ではない。
生きている中で生じる不満や不安。
そのひとつひとつが重なり大きな膿となり、自分では止めようもなく爆発する。
何がきっかけで溢れ出してしまうかもわからないおぞましい感情を、この映画は表現したかったのではないだろうか。

予告動画

 

12月1日(金)ディノスシネマズ札幌劇場にて公開

出演: 井浦新 瑛太 長谷川京子 橋本マナミ  南果歩 平田満

監督・脚本:大森立嗣 
原作:三浦しをん(「光」集英社文庫刊) 
音楽:ジェフ・ミルズ 
配給:ファントム・フィルム
上映時間:137分
映倫:R15+

©三浦しをん/集英社・©2017『光』製作委員会 

公式ページ

The following two tabs change content below.
兼平ゆきえ

兼平ゆきえ

映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報誌 From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、月に1度 映画や音楽の話を中心とした番組を放送開始。