2018年8月16日
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共感度0%・不快度100%「彼女がその名を知らない鳥たち」

  • 2017年9月24日

作品概要

共感度0%、不快度100%。 でもこれは、まぎれもない愛の物語。

ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに「究極の愛とは何か」を突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの人気ミステリー小説「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)がついに映画化。メガホンを取るのは『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督。ノンフィクションを原作に骨太な社会派エンターテイメントを作り出してきた彼が、初めて本格的な大人のラブストーリーに挑む。
主人公十和子を演じるのは蒼井優。十和子と一緒に暮らしている陣治には、今作で蒼井と初共演となる阿部サダヲ。
そして十和子と不倫関係となる水島を松坂桃李、十和子が忘れられない男・黒崎を竹野内豊が演じる。 共感度ゼロな最低な女と男が辿りつく〝究極の愛“はきっと、あなたの愛の概念を変えるだろう。

ストーリー

――彼はなぜ消えてしまったのか?

八年前に別れた男・黒崎を忘れられないでいる十和子は、今は15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。
ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。
どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――。

 

試写の感想

登場人物がみんな、ろくでなしばかりだった。
共感度0%、不快度100%というキャッチコピーは的を得ている。

蒼井優演じる十和子は汚部屋に住むクレーマー。電話や店先でねちねちと店員に因縁をつける姿もこなれ過ぎていた。阿部サダヲ演じる佐野陣治は、粗野で下品な男。共に生活しながらも、十和子は陣治を見下し軽蔑していた。どんなにひどい言葉をぶつけられても、どれほど暴君であろうとも異常なまでに十和子に執着し卑屈なほどに尽くしている。不可解で、異様でもある。

十和子は昔の男を忘れられないでいる。陣治との淀んだ冴えない生活の中で、過去の男、黒崎との思い出は甘く美しく、失われた日々は輝かしく映っていた。

いつも不機嫌な十和子。家事もせず、食事は陣治が買ったものや作ったものを食べる。陣治は決して多くはないであろう収入の中から日々の生活費を十和子に捧げている。彼のできる限りを尽くして、十和子の好きなようにさせていた。

そんな中、十和子はクレーム先のデパートに勤務する若い男、松坂桃李演じる妻子持ちの水島と肉体関係になる。どうやらイケメンに弱いらしく、邪険にされても入れあげてしまう。

役者陣の、これらのろくでもないキャラクターを演じ抜く姿に感銘を受けてしまう。
可憐なルックスの蒼井優は破壊的かつ浅はかで汚れた女、十和子として、男たちとの情事を幾度もさらす。水島役の松坂桃李もこれ、いいの?と思ってしまうほどのカス男ぶりだった。体当たりの演技とはまさにこのことだろう。イメージを壊すことを恐れない勇気に脱帽だった。

昔の男、黒崎も最低な人間だし、陣治の尽くしぶりやストーカー並みに十和子にまとわりつく様もいびつだし、全体の空気感や人物象の不快さが全開極まりない中、物語は思わぬ展開を迎える。

我々は思いがけず、ピュアな愛を知ることになる。

まるでなにか、騙されたような、裏切られたような気分だった。
この輩からはまるで想像しえなかった、美しい、純粋な愛を突きつけられ、戸惑ってしまうのだ。

不思議な愛の物語への変貌を受け止められるだろうか。このまさかの事態、体感してみて欲しい。

予告動画

「彼女がその名を知らない鳥たち」2017年10.28公開

キャスト/スタッフ

キャスト:蒼井優 阿部サダヲ
松坂桃李 / 村川絵梨 赤堀雅秋 赤澤ムック・中嶋しゅう / 竹野内豊

監督:白石和彌

原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)

制作プロダクション:C&Iエンタテインメント

製作:映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

配給:クロックワークス

©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

2017年/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/123分  【R15指定】

公式サイト

投稿者プロフィール

Kana
Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなのでHMRライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。