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世界一危険な男の、常軌を逸した­世界。『ザ・ウォーク』感想・あらすじ

月面を歩いた人間は12人いる-
ワールドトレードセンターの間に渡したワイヤーロープの上を歩いた人間は- 1人しかいない。

ロバート・ゼメキス監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演

この挑戦は実話。この挑戦を映像化。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや『フォレスト・ガンプ/一期一会』などでおなじみ、映像の魔術師ロバート・ゼメキス監督。

ロバート・ゼメキス監督自身も「実際に高位のワイヤー上を歩くというのはどういう感じなんだろう?普通、人は見上げるだけだけれど、彼が感じていた経験をリアルに映像にするというのは、今まで誰もしたことがないと思ったんだ。フィリップには徹底的に協力してもらった。そして地上411mを感じるため、リアリティーある映像が完成した。当時の写真を3D化し、高さ、深さ、質感、空気感といったものにこだわり、今まで駆使してきた映像技術をすべて使った本作は、私にとっては集大成ともいえる」と自信のほどを語っている。

さらに、不可能にも思えるこの男の壮大な挑戦は紛れもない実話ですが、ゼメキスはプティについて「アーティストであると同時に偉大な犯罪者かもしれない。映像が残っていないので作り話めいてもいるが、彼の想いは夢を追う誰もが共感できるものだと思う」と語り、人間ドラマに期待させるコメントも残しており、ゼメキス監督の最先端の映像×人間ドラマに期待せずにはいられない!

―ストーリー―

1974年、当時世界一の高さを誇ったワールド・トレード・センター、NYにそびえ立つ摩天楼の中でも王者と呼ぶにふさわしい荘厳なツインタワー。この間をワイヤーロープ一本でつなぎ、命綱なしの空中闊歩にある男が本当に挑んだ。その男とはフィリップ・プティという。この伝説の男プティ役には「インセプション」で注目された若手実力派俳優、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じる。

監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』そして『フォレスト・ガンプ/一期一会』『キャスト・アウェイ』『フライト』などで知られるアカデミー賞監督ロバート・ゼメキス。常に“最先端のVFX技術”を活かした映像で世界中を驚きと感動で魅了してきた監督の“集大成”であり“最高峰”となりそうな迫力あるビジュアルが画面を超えて伝わってくる。

ゼメキスは語る。「1974年 当時世界一の高さを誇るツインタワーの間を渡ろうとするなんて、誰も考えない。前人未到のチャレンジをした男だけが味わえる外界から遮断された孤独。生と死のドラマ。高所恐怖症にはあまり気持ちのいいものではないかもしれないがね(笑)」 不可能にも思えるこの男の挑戦は紛れもない実話であり、記録としても残っているが、なんと映像には残されていない。まさに実話を完全映像化したといえる本作、そう、この映像は、誰もが<100%未体験>である。

空を歩いた伝説の男、フィリップ・プティ

フィリップ・プティはフランス生まれの大道芸人。これまでにパリのノートルダム大聖堂の2つの小塔の間の綱渡りやシドニーのハーバーブリッジの横断に成功し、1974年8月プティが23歳の時に、当時世界一高いビルだったワールドトレードセンター(WTC)の2棟の間の綱渡りも無事成功。違法行為のためプティは逮捕されたが、この綱渡りは”史上最も美しい芸術犯罪”として今も語り継がれている。

本作は、主人公フィリップ・プティがフランスで独自の綱渡り方法から脱し、師匠からノウハウを習い修練を重ねる序章と、WTCビルに実際にワイヤーを掛けるまでの計画編と、危険な綱渡りシーンと三編で構成されている。

綱渡りのシーンは、ノーワイヤーでスタント無し。現在NY在住のフィリップ・プティ本人から、綱渡りを伝授してもらった、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットの綱渡り技術と、フランス語訛りの英語には彼の努力が伝わる。

完成間近のワールドトレードセンター(WTC)のツインタワーに深夜忍び込み、2つのビルをワイヤでつなぐ。そして朝、その1本のワイヤーロープの上を命綱をつけずに無許可で歩く、フランスの大道芸師フィリップ・プティ

今は無きNYのWTCビルの高さは地上411m、ワイヤー幅2.2センチ

当然だがビル側から許可は無く、どうやって綱渡りを実現させるのか?そして完成間近のツインタワービルに忍び込み、2つのビルをワイヤーで繋ぎ、その1本のワイヤロープの上を命綱をつけずに無許可で歩くフィリップ・プティ。

ロバート・ゼメキス監督の映像美と臨場感が伝わるWTCの高さは、3Dで観ると手に汗握り、高所が苦手な私は緊張で冷や汗が出る。軽快な主人公自身のナレーターで物語は進み、綱渡りのシーンは圧巻の大迫力。

お勧めなのはIMAX-3Dだ。私は試写室で3D作品を鑑賞したが、IMAXシアターで改めて『ザ・ウォーク』の予告編を観ると、映像の迫力は試写室の数倍は違うので、もう一度IMAX-3Dで鑑賞したい。

史上最高レベルの高さでの犯罪だが、人々の記憶に残る偉業と夢を成し遂げ、テロ攻撃ではなく誰も傷つけない方法でWTCを制したフィリップ・プティの伝記映画である。

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ザ・ウォーク

原題:The Walk監督:ロバート・ゼメキス、出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ベン・キングズレー、シャルロット・ルボン、ジェームズ・バッジ・デールほか

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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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